株おばちゃん

日経平均急落と米金利急騰:荒れる市場で家計を守る賢い視点ですわ

皆さま、ごきげんよう。株おばちゃんですわ。 今週の始まりは、まるで予想もしなかった嵐のようでしたわね。「景気が良いはずなのに、なぜ株価はこんなにも下がるの?」と、戸惑いながら画面を眺めていらっしゃる方も多いことでしょう。本日は、この突然の嵐の理由を紐解きながら、こんな時こそ大切にしたい家計を守る視点について、温かいお茶と一緒にお話ししてまいりましょうね。

突然の嵐と、おばちゃんの落ち着いた朝ですわ

まずは、きのうの東京市場を振り返ってみましょう。日経平均株価は、金曜日の終値からまるで 大きな風に揺さぶられたかのような下落 となり、前日比 2563円52銭 安の 6万4024円60銭 で取引を終えましたの。一時は 6万4000円の大台を割り込み、6万3400円近辺まで下落する場面 も見受けられましたわ。朝から売りが売りを呼ぶような展開で、市場全体が不安という名の濃い霧に包まれてしまったようですわ。Yahoo!ファイナンスの画面も、一面が真っ赤に染まっております。

わたくしの周りでも、「どうしてしまったのかしら」と心配の電話が鳴りやまない一日でした。けれど、皆さま。こんな時こそ、慌ててはいけませんのよ。なぜ嵐が来たのか、その風向きをしっかりと見極めることが大切です。まずは深呼吸をして、落ち着いて。キッチンでお気に入りの紅茶を淹れるように、一つひとつ丁寧に、ことの経緯を見てまいりましょう。嵐が過ぎ去ったあとの、澄み渡った空を思い描きながら。

「甘い香りの罠」?米国雇用統計と長期金利上昇がもたらす波紋

今回の嵐の震源地は、遠いアメリカの地にありますの。先週の金曜日に発表されました、5月の 米国雇用統計 がその引き金となりました。

発表された数字は、市場の専門家たちの予想を大きく上回る、大変力強いものでした。「あら、景気が良いのなら株にとっても良いことじゃないの?」とお思いになるかもしれませんわね。ええ、もちろん、たくさんの人がお仕事に就けるのは素晴らしいことです。まるで、お庭にたくさんの元気な花が咲き誇るような、喜ばしい光景ですわ。

ところが、市場はこれを少し違う角度から眺めてしまったのです。お料理でも、お塩をひとつまみ加えるだけで味が引き締まることもあれば、入れすぎてしまっては台無しになることもありますわよね。今の市場は、この「強すぎる景気」を「インフレという名の塩分の摂りすぎ」と捉えてしまったのです。

これほど景気が強いと、物価の上昇、つまりインフレがなかなか収まらないのではないか。そうなると、アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は、景気を冷ますためになかなか利下げに踏み切れないだろう…と。この思惑が、 長期金利 の急上昇を招きましたの。米国の10年物国債の利回り(長期金利)は、雇用統計の発表後に一気に水準を切り上げることとなりました。

長期金利というのは、いわば「世の中のお金の貸し借りにおける、基本的なレンタル料」のようなもの。このレンタル料が上がると、企業は新しい工場を建てたり設備投資をしたりするためにお金を借りにくくなります。個人の皆さまにとっても、住宅ローンの金利が上がるかもしれない、という懸念につながりますわね。こうして、景気の先行きに冷や水が浴びせられる形となり、世界中の株式市場に冷たい風が吹き荒れることになったのですわ。甘い香りに誘われた先には、少し厄介な棘が隠れておりましたのね。

輝きを失ったハイテク株と、不動産市場の影 〜金利上昇の冷たい風〜

金利の上昇という冷たい風は、特にこれまで市場を牽引してきたハイテク関連の銘柄、いわゆるグロース株に強く吹き付けました。

これらの銘柄は、将来の大きな成長を期待されて、現在の利益から見ると少し割高に見える株価がつけられていることが多いのです。これをPER(株価収益率)という物差しで測ったりしますけれど、まるで「数年後に見事な果実を実らせるであろう、若木の苗」のようなものですわね。

金利が低い時は、将来得られる大きな果実を心待ちにできます。ですが、金利が上がると、「今すぐ、安全に得られるお利息(金利)」の魅力が高まります。すると、わざわざ未来の不確実な果実を待つよりも、目の前の確実な利益を選ぶ人が増えるのです。結果として、未来への期待で買われていたハイテク株は輝きを失い、大きく売られてしまいました。

また、金利に敏感な不動産関連や、金融機関の一角にも売りが広がりました。金利が上がれば企業の資金繰りが苦しくなるのでは、住宅市場が冷え込むのでは、といった連想が働いたようですわ。華やかな舞踏会で音楽が止まったかのように、一斉に皆が立ち尽くしてしまったような光景です。

荒波の中にも光る、健やかな「庭の花」たち 〜ディフェンシブ株の底力〜

しかし、皆さま。このような嵐の中にあっても、すべての草花がなぎ倒されてしまうわけではございませんのよ。風雨に強く、どっしりと根を張って咲き続ける、健やかな花もございます。株式市場で言うところの、 ディフェンシブ株 と呼ばれる銘柄たちがそれに当たりますわ。

これらは、景気の波にあまり左右されにくい、私たちの生活に欠かせない分野の企業のこと。例えば、毎日いただく食品や、健康を守るための医薬品、暮らしに必須の電力・ガス、そして通信といったセクターです。

景気が悪くなったからといって、急にご飯を食べる量を半分にしたり、スマートフォンの通信契約を解約したりする方は少ないですわよね。こうした安定した需要に支えられているため、不透明な市況では「資金の避難先」として見直される傾向がございます。

本日のような全面安の展開の中でも、これらのセクターの下げは比較的小さなものに留まっていたり、中には逆行して値を保っている銘柄も見受けられました。こういう時こそ、ご自身のポートフォリオに、こうした「庭の片隅で静かに咲く、健やかな花」が植えられているか、確認してみるのもよろしいかもしれませんわね。安定した配当を出してくれる企業も多く、嵐の日の心の支えとなってくれることでしょう。

160円台の円安が示すもの 〜遠い海の風が家計に運ぶもの〜

そしてもう一つ、私たちの暮らしに直接関わってくるのが為替の動きです。先ほどお話しした日米の金利差の拡大を背景に、為替市場では 円安 が一段と進み、ついに1ドルが160円台に乗せてきました。

これは、日本の輸出企業にとっては追い風となります。海外で稼いだドルを円に換える際に、手元に残る円が増えるわけですから、業績を押し上げる要因になりますの。自動車や機械といったセクターが、株価下落の中でもある程度下支えされていたのは、この円安効果への期待もあるのでしょう。

一方で、わたくしたちの家計にとっては、少し頭の痛い問題ですわね。日本はエネルギーや食料品の多くを輸入に頼っておりますから、円安はガソリン価格や輸入小麦、海外の果物などの値上がりに直結します。海外旅行へ行くにも、以前よりずっと多くの円が必要になります。まるで、遠い海の向こうで吹いた風が、気づかぬうちに私たちの食卓の品物の値段を押し上げているかのようですわ。この円安がどこまで進むのか、家計簿を預かる身としては、注意深く見守る必要がありそうですわね。

不安な時こそ冷静に 〜嵐の後に備える、賢いポートフォリオの整え方〜

さて、本日は市場を揺るがす嵐の正体と、その中での光についてお話ししてまいりました。 日経平均が一日で大きく下落すると、不安で胸が締め付けられるような気持ちになるのも無理はございません。ですが、そんな時こそ一番してはいけないのが、恐怖に駆られて慌てて持っている株をすべて手放してしまう「狼狽売り」ですわ。

嵐の日に、傘も持たずに庭へ飛び出せば、ずぶ濡れになって風邪をひいてしまいます。今はまず、雨風のしのげる家の中から、静かに外の景色を眺める時。ご自身の資産の組み合わせ、いわゆるポートフォリオが、今の嵐に耐えられるものになっているかを見直す、絶好の機会と捉えてみてはいかがでしょう。

成長を期待する若木(グロース株)ばかりでなく、安定した収穫をもたらしてくれる果樹(バリュー株)や、嵐に強い健やかな花(ディフェンシブ株)がバランス良く植えられているか。そして、いざという時のために、すぐに使える現金という名の「備え」は十分にあるか。お料理の塩加減と同じで、投資もバランスが何より大切ですのよ。

雨は、いつか必ず止むものですわ。そして雨上がりの空には、きっと美しい虹がかかることでしょう。その日に備えて、今は焦らず、じっくりとご自身の足元を固めてまいりましょうね。わたくしも、皆さまと一緒にこの市場の空模様を、静かに見守っておりますわ。