円安が描く日本企業の明暗:二極化の波紋と賢い投資の羅針盤ですわ
皆さま、ごきげんよう。株おばちゃんですわ。
紫陽花が雨に濡れて、いっそう色鮮やかに咲き誇る季節となりました。うっとうしい梅雨の季節ではございますけれど、こうしたささやかな美しさを見つけると、心が和みますわね。さて、株式市場に目を向けてみますと、日経平均は3万8千円台後半で底堅く推移しており、まるで梅雨の晴れ間が覗いているかのようですわ。この背景には、1ドル157円台で続く「円安」という強い日差しがあるわけですけれど、どうもその光の当たり方にはムラがあるご様子。多くの方が「市場は好調と聞くけれど、どうして私の持っている株はぱっとしないのかしら?」と首を傾げていらっしゃるかもしれません。本日は、この円安という光がもたらす「表」と「裏」、そして日本企業に広がる二極化の波紋について、ゆっくりとお茶をいただきながら紐解いてまいりましょうね。
円安の「表」と「裏」:恩恵を受ける企業、試練に立つ企業ですのよ
まず、円安がなぜ日本株にとって良いことのように語られるのか、簡単におさらいしておきましょうね。これは主に、海外で製品を売って儲けている「輸出企業」にとって、大変な追い風になるからですのよ。
例えば、1ドルの商品をアメリカで販売する企業を思い浮かべてみてくださいませ。為替レートが1ドル100円の時、日本円での売上は100円ですわ。ところが、今のように1ドル157円になりますと、同じ1ドルの商品が、なんと157円の売上として計上されることになりますの。製品の価値や販売数が変わらなくても、為替が変わるだけで利益が大きく膨らむ。まるで、いつも使っているお砂糖の袋を開けたら、中身が1.5倍に増えていたような、嬉しい驚きですわね。
この恩恵を最も受けるのが、日本の基幹産業である自動車や、世界中に部品を供給する機械、精密機器といった企業です。昨日(6月10日)の市場でも、こうした輸出関連の銘柄が相場を支える場面が見受けられました。日本経済新聞社の報道によれば、大手自動車メーカーなどでは、為替が1円円安に動くだけで、年間の営業利益が数百億円単位で押し上げられる試算もあるそうですから、その影響の大きさがお分かりになるかと思いますわ。
一方で、円安はすべての企業にとって喜ばしいわけではございません。むしろ、厳しい向かい風にさらされる企業もたくさんあるのです。それは、海外から原材料や商品を「輸入」している企業ですわね。先ほどとは逆のことが起こります。1ドルで仕入れていたものが、100円から157円に値上がりしてしまうのですから、これは大変です。コストが膨らみ、企業の利益を圧迫してしまいますの。まるで、大切に育てていた家庭菜園のお野菜が、日照り続きで元気をなくしてしまうような、悩ましい状況ですわ。
セクターごとの明暗:円安が描き出す日本の経済地図ですわ
この「追い風」と「向かい風」は、株式市場をセクター(業種)という地図で見渡してみると、その違いがよりくっきりと浮かび上がってまいりますのよ。
まず、円安の恩恵を受ける 輸出関連セクター ですわ。 代表格は、先ほども触れました 自動車 や 機械、電気機器(特に半導体関連)など。これらのセクターは海外売上高比率が高いため、円安が業績に直結しやすいのです。昨日も日経平均株価は前日比188円高の38,921円55銭で引けましたが、その中身を覗いてみると、こうした輸出企業の堅調さが市場全体を支えている構図が見て取れますわ。
一方で、円安の試練に直面しているのが 内需株 を中心としたセクターです。 例えば、海外から燃料を輸入しなければならない 電力・ガス 会社。燃料費の高騰は、電気料金への転嫁にも限界があり、経営の重荷となります。また、小麦や食肉、油脂といった多くの原材料を輸入に頼る 食料品 メーカーも同様ですわ。仕入れコストの上昇分を、すぐに商品の価格に反映させるのは難しいものですからね。
そして、私たちの日々の暮らしに身近な 小売業 も、その多くが厳しい状況にありますのよ。家具や衣料品など、海外で生産された製品を輸入して販売している企業は、仕入れ価格の上昇に頭を悩ませています。価格を上げればお客様が離れてしまうかもしれない、かといって価格を据え置けば利益が出ない…。このジレンマは、経営者にとって非常に難しい舵取りを迫るものですわ。
このように、円安という一つの現象が、日本の経済地図をくっきりと色分けしているのが、今の市場の特徴と言えましょうね。
インフレと消費動向:家計への影響と企業戦略ですのよ
円安がもたらす影響は、企業の業績だけにとどまりません。輸入物価の上昇は、巡り巡って私たちの家計にも「インフレ」という形で波及してまいります。スーパーに並ぶ食料品や、日々のガソリン代など、様々なものが値上がりしているのを、皆さまも肌で感じていらっしゃるのではございませんか。
家計が圧迫されると、私たち消費者は自然とお財布の紐を固く締めるようになりますわね。少しでも安いものを探したり、贅沢を控えたり…。こうした消費マインドの冷え込みは、特に 内需株 にとってさらなる向かい風となります。
ただ、こうした厳しい環境の中でも、企業はただ手をこまねいているわけではございませんのよ。各社が知恵を絞り、様々な戦略でこの難局を乗り越えようとしています。
一つは、「価格転嫁力」 ですわ。コストが上がった分を、商品の価格に上乗せできる力のことですのね。これには、他にはない独自の技術や強いブランド力が必要です。「この商品でなければ」とお客様に思っていただける魅力があれば、多少値上がりしても買っていただけますものね。
もう一つは、「コスト吸収力」 です。自社で生産から物流までを一貫して手掛けることで中間マージンを削減したり、徹底した業務効率化で無駄を省いたりすることで、仕入れコストの上昇を企業努力で吸収するのです。
同じ小売業というセクターの中でも、こうした戦略の上手い下手によって、業績にはっきりと差が出てきているように見受けられますわ。
おばちゃんの羅針盤:この波を乗りこなす賢い視点ですわ
さて、このような二極化が進む市場と、私たちはどのように向き合っていけばよいのでしょう。わたくしが大切にしている視点を、少しだけお話しさせてくださいませ。
まず、ご自身のポートフォリオ(お持ちの銘柄の組み合わせ)を、一度ゆっくりと眺めてみることですわ。お庭の花壇のお手入れと同じですのよ。日当たりの良い場所を好むお花と、日陰で静かに咲くお花があるように、ご自身の銘柄が「円安メリット」と「円安デメリット」のどちらに偏っているのかを把握しておくことが大切です。もし、内需株ばかりで少し元気がないようでしたら、ポートフォリオに少しだけ輸出関連の彩りを加えてみる、というのも一つの考え方かもしれませんわね。
次に、同じセクターの中でも、企業の「個性」に目を向けることです。先ほど申し上げた「価格転嫁力」や「コスト吸収力」といった企業体力が、今後の業績を大きく左右する可能性があります。
企業の個性を測るものさしの一つに、PER(株価収益率) や PBR(株価純資産倍率) といった指標がございますけれど、難しく考える必要はございませんのよ。 PERは「今の株価が、その会社の1年間の利益の何倍か」を示すもの。わたくしは、「その企業への期待度を表す温度計」 のようなものだと捉えていますわ。数値が高いほど、市場の期待も熱いということです。 PBRは「今の株価が、その会社の純資産(もし会社を解散した時に残る価値)の何倍か」を示すもの。こちらは 「企業の価値に対する株価の割安度を見る体重計」 のようなイメージですわね。一般的に1倍を割れると割安とされます。
これらの指標だけですべてが分かるわけではございませんが、同じ業種の企業をいくつか並べて比較してみると、市場がどの企業に期待を寄せているのか、ヒントが見えてくることもありますのよ。
わたくしでしたら、今は少し元気のない内需株の中でも、独自のブランド力を持ち、きちんと価格転嫁ができそうな企業や、そもそも原材料の多くを国内で調達できるような、円安の影響を受けにくい企業に、そっと目を配ってみますかしら。嵐の中でもしなやかに伸びる竹のような、強さを持った企業を探すのも、投資の楽しみの一つですわね。
結びに:雨上がりの晴れ間を待つ心持ちですのよ
本日は、円安がもたらす二極化の波紋についてお話しさせていただきました。
市場全体を見渡すと晴れ間が広がっているように見えても、一歩足元に目を向ければ、水たまりができていたり、ぬかるんでいたりする。今の日本株市場は、まさにそのような状況かもしれませんわね。「円安だから上がる」とか「内需だからダメ」と単純に決めつけるのではなく、その光と影の両方を冷静に見つめ、一社一社の企業の状況を丁寧に読み解いていく姿勢が、これまで以上に大切になってくるように感じます。
梅雨の季節は、どうしても気分も沈みがちになりますけれど、この雨が草木を育て、やがて来る夏への備えとなる大切な時期でもありますわ。投資も同じですのよ。焦らず、じっくりとご自身のポートフォリオと向き合い、次の晴れ間に備えておく。そんな心持ちで、この相場を乗りこなしていきたいものですわね。
それでは皆さま、また次のお茶の時間にお会いしましょう。どうぞ、素敵な一週間をお過ごしくださいませ。


