株おばちゃん

米国労働市場と賃金上昇:FRB金融政策と株価への影響を紐解く

皆さま、ごきげんよう。株おばちゃんですわ。8月も終わりに近づき、市場も夏の静けさから秋の相場に向けて少しずつ動き出しているようですわね。最近、皆さまから「米国の労働市場のニュースがよく流れてくるけれど、これが私たちの株にどう関係するのかしら?」というお便りをよくいただきますの。特に賃金の上昇が、今後の金利や株価にどう影響するのか、少し不安に感じていらっしゃる方も多いようですわね。本日は、そんな米国労働市場の現状を丁寧に見つめ、私たちの投資の羅針盤をどう合わせていけばよいのか、一緒にお茶をいただきながら考えてまいりましょうね。

最新の雇用統計から読み解く米国労働市場の全体像

まずは、今月はじめに発表されました米国の7月の雇用統計を、丁寧におさらいしてみましょう。これは、米国の経済がどれくらい元気なのかを測る、とても大切なお便りのようなものですわ。

発表によりますと、景気の動向を敏感に反映する非農業部門の雇用者数は、市場の予想だったおよそ19万人増を上回る、21.5万人増という結果でしたの。これは、米国の企業がまだまだ積極的に人を雇おうとしている、つまり経済の足腰がしっかりしている証拠と受け取れますわね。まるで、夏の暑さにも負けず、庭の草木が力強く育っているような印象です。

一方で、失業率は3.6%と、歴史的に見ても低い水準で安定しております。働きたい人がきちんと仕事を見つけられている状況は、社会にとっては大変喜ばしいことですわね。ただ、株式市場という観点から見ると、この「強すぎる」労働市場が、また別の心配の種を生んでいることも事実。そのあたりを、これから詳しく見ていきましょうね。

賃金上昇率の動向:インフレへの影響とFRBの警戒姿勢

今回の雇用統計で、わたくしが特に注目しておりますのは「平均時給」の動きですのよ。7月の平均時給は、前の年に比べて 4.3% も上昇しました。これも市場の予想を上回る、力強い数字ですわ。

もちろん、お給料が上がるのは働く方々にとっては嬉しいお話。けれど、金融政策を司るFRB(米国の中央銀行にあたる組織ですわね)は、この賃金の上昇に少し眉をひそめておりますの。なぜなら、賃金の上昇が行き過ぎてしまうと、それが物価全体を押し上げる「賃金インフレ」という現象につながりかねないからですわ。

これを家庭のお料理で例えるなら、美味しい煮物を作るためにお砂糖を加えるようなもの。適量ならコクが出て美味しくなりますけれど、入れすぎてしまうと甘ったるくなって、全体の味のバランスが崩れてしまいますでしょう?FRBは今、この「お砂糖の量」、つまり賃金の上昇率がインフレというお鍋を煮詰まらせすぎないか、慎重に火加減を見守っているところなのです。賃金が上がり、それによって企業のコストが増え、商品価格に転嫁され、物価が上がる…そして、物価が上がるからもっと高い賃金を、という循環が始まってしまうことを、何よりも警戒しているのですわね。

失業率と労働参加率:市場の健全性を示す重要な指標

先ほど、失業率が3.6%と低い水準にあるとお話ししました。これは、人を探している企業の数に対して、働きたい人の数が少ない「人手不足」の状態が続いていることを示唆していますわ。いわば、働き手の「売り手市場」ですわね。

もう一つ、合わせて見ておきたいのが「労働参加率」という指標です。これは、働くことができる年齢の人口のうち、実際に働いているか、お仕事を探している人の割合を示しますの。この数字が上がれば、人手不足が少し和らぐ可能性が出てきます。今回の7月の統計では62.7%と、少しずつですが改善の兆しが見られます。リタイアしていた方々が職場に戻ってきたり、新たにお仕事を始めようという方が増えたりしているのかもしれません。

この失業率と労働参加率のバランスは、労働市場の「健全性」を測る上でとても大切。失業率が低いままでも、労働参加率が上がってくれば、賃金インフレの圧力も少しは和らぐかもしれませんわね。市場の体温を測る体温計のように、毎月しっかりと確認しておきたい数字です。

FRBの金融政策:データ次第の姿勢と市場の織り込み具合

さて、これほどまでに労働市場が強いと、FRBは金融政策をどう考えるでしょう。FRBはかねてより「金融政策はデータ次第」という姿勢を貫いております。つまり、毎月発表される雇用統計や消費者物価指数(CPI)といった経済指標の結果を見て、次の行動を決めるということですわね。

今回の強い雇用統計、特に賃金上昇率の高さを受けて、市場では「FRBが利下げに踏み切るのは、まだ当分先になるのではないか」という見方が強まっていますの。一部では、インフレが再燃するようなら、再び利上げの可能性すらあるのでは、と囁く声も聞こえてきます。

こうした市場の思惑は、金利の先物市場などを見るとある程度読み取ることができます。今週は、ワイオミング州のジャクソンホールという避暑地で、世界中の中央銀行総裁や経済学者が集まる重要な会議が開かれます。ここでのFRB議長の発言に、市場は固唾をのんで注目している状況ですわ。議長がタカ派的(金融引き締めに前向き)な姿勢を見せるのか、それともハト派的(金融緩和に前向き)なヒントをくれるのか。その一言一句が、今後の相場の風向きを大きく左右することになりそうですわね。

労働市場の強さが株式市場に与える影響:セクター別の明暗

では、この強い労働市場は、私たちの持つ株式にどのような影響を与えるのでしょう。これは、良い面と少し心配な面の両方がありますのよ。

良い面 としては、雇用が安定し、お給料も増えれば、人々の消費意欲は底堅く推移します。これは、日用品や食品を扱う企業、あるいは旅行やレジャーといったサービスを提供する企業にとっては追い風となりますわね。景気がしっかりしているという安心感は、株式市場全体を支える土台にもなります。

一方で、心配な面 は、先ほどからお話ししている金融引き締めが長引く可能性です。金利が高い状態が続くと、特にお金を借りて大きく成長しようとするハイテクなどのグロース株にとっては、少し厳しい環境になります。金利という、お庭の水道の蛇口が固く締まっている状態では、勢いよく伸びたい若木も、水を十分に吸い上げることが難しくなってしまいますものね。先週末の米国市場でも、金利上昇を警戒してか、NASDAQ総合指数が少し軟調な動きを見せておりました。

このように、労働市場の動向ひとつで、株式市場の中でもセクターによって明暗が分かれることがありますの。ご自身のポートフォリオが、金利の動きに敏感な銘柄に偏っていないか、一度見直してみるのも良い機会かもしれませんわね。

今後の展望:労働市場の変容と投資家が注視すべきポイント

これから先、私たちが米国の労働市場を見つめる上で、どのような点に心を配ればよいでしょうか。

まずは、来月上旬に発表される8月分の雇用統計ですわね。今回のように再び強い数字が出るのか、それとも少し落ち着きを見せるのか。この結果次第で、9月に予定されている次回のFOMC(金融政策を決める会合)に向けた市場の雰囲気がまた変わってくることでしょう。

ただ、毎月の数字に一喜一憂しすぎるのは考えものですわ。それはまるで、毎日のお天気だけで一年間の農作物の出来を判断しようとするようなもの。大切なのは、短期的な数字のブレの向こう側にある、大きな流れを捉えることです。米国経済がソフトランディング(景気を後退させずにインフレを抑制すること)できるのか、それとも少し失速してしまうのか。労働市場のデータは、その行方を占うための最も重要な手がかりの一つですのよ。

また、AI(人工知能)の進化が、今後どのように労働市場の姿を変えていくのかといった、より長期的な視点も大切になってまいりますわね。

市場の先行きに不透明感があるときは、誰しも少し不安になるものです。けれど、そんな時こそ冷静に、事実を一つひとつ丁寧に確認していくことが大切ですわ。慌てて判断するのではなく、ご自身の投資の目的や時間軸をもう一度心に問いかけながら、ゆったりと構えて市場と向き合っていきましょうね。

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