株おばちゃん

米大手銀行Q3決算直前:金利高止まり下のNIIと信用コストの着眼点

10月中旬から、米大手銀行のQ3決算が順番に発表される見込みですわね。長期金利が高い水準にあるなか、銀行の稼ぐ力はどうなっているのか、決算の前に何を見ておけばよいのか。そうしたお悩みをお持ちの方も多いのではないかしら。今日は、純金利収入(NII)と信用コストを中心に、決算書を開く前に押さえたい四つの視点を、お茶をいただくような気持ちで整理してまいりますわ。なお、具体的な水準は日々動きますので、数値は最後に必ずご自身でご確認くださいましね。

10月決算シーズンの幕開け:米大手金融機関に熱い視線が集まる理由

米国の決算シーズンは、例年、大手銀行が先陣を切りますのよ。JPモルガン、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ウェルズ・ファーゴ、そしてゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーといった顔ぶれが並ぶのが通例ですわ。銀行は、貸出、預金、カード、市場取引、M&Aの助言と、経済のあらゆる場所に根を張っております。ですから、その決算は米国経済の健康診断書のように読まれますのよ。

もうひとつの理由が、米長期金利の水準ですわ。金利が高いと、貸出の利ざやには追い風になりやすい一方、債券の含み損や預金の流出、借り手の返済負担といった逆風も生まれます。追い風と向かい風が同時に吹く環境で、どちらが勝っているかを確かめられるのが決算ですの。

米金融株の値動きを見るときは、個別銘柄だけでなく、KBW銀行株指数のような業界全体の物差しも並べておくと安心ですわ。大手だけが強いのか、地銀まで含めて底堅いのか。この違いが、市場の見ている景色を教えてくれますのよ。

米10年債利回りの水準感と純金利収入(NII)の持続性を読み解く

純金利収入とは、貸出などで受け取る利息から、預金者に支払う利息を引いた手取りのことですわ。お料理でいえば、仕入れ値と売値の差で出る粗利のようなものですわね。金利が高いと貸出利回りは上がりますが、預金に払う利息も増えてまいります。

ここで注目したいのが、預金コストの動きですの。預金者がより高い利息を求めて資金を移すと、銀行は払う利息を上げざるを得ませんわ。決算では、預金残高の増減と、預金に払う平均的な金利の推移を見るとよろしいですわよ。

米10年債利回りの水準は、米財務省や米連邦準備制度理事会(FRB)の公表データ、Yahoo!ファイナンスなどで確認できますわ。ただ、利回りの高さそのものより、貸出の入れ替わりに伴う利回りの改善が続くのか、頭打ちなのかを見ることが大切ですの。銀行は経営陣が通期のNII見通しを示すのが通例ですから、その数字が上方修正か据え置きか、あるいは下方修正かに耳を澄ませましょうね。

また、長期金利の高止まりは、保有する債券の評価損をふくらませる面もございます。評価損が自己資本にどう響いているかは、決算資料の注記や補足資料にまとまっておりますから、数字を急いで追うより、前四半期との比較で眺めるのがよろしいですわ。

商業用不動産と消費者ローン:気になる信用コスト(貸倒引当金)の現在地

信用コストとは、貸したお金が戻らない場合に備えて積む費用のことですわ。梅干しを漬けるときに、傷む分を見込んで多めに用意しておく、あの感覚に近いかしら。引当金が増えれば当期の利益は減りますが、先々の備えが厚くなるとも読めますのよ。

気になるのは、まず商業用不動産ですわ。とくにオフィスは、在宅勤務の定着と高い借入金利が重なり、借り換えのたびに負担が重くなりやすい分野ですの。各行が開示するオフィス向け貸出の残高、延滞率、引当率の変化を、前四半期と並べて確認してみてくださいまし。

次に消費者ローンですわ。クレジットカードや自動車ローンの延滞率と、貸倒償却の動きは、家計の体力をうつす鏡ですの。見るべきは絶対的な水準だけではありません。悪化のスピードが落ち着いているか、経営陣が「正常化の範囲内」と語っているか、といった言葉づかいにもヒントが隠れておりますわ。

過去の資料との比較には、各社のIRページや米証券取引委員会(SEC)のEDGARで公開される書類が頼りになりますのよ。数字を拾うときは、出典を確かめながら進めましょうね。

投資銀行部門の手数料収入は回復基調にあるか:M&Aや起債動向のチェック

銀行の収益は、利ざやだけではございませんわ。M&Aの助言、株式や債券の引受といった投資銀行部門の手数料も、大切な柱ですの。これは景気や市場の機運に敏感で、お天気に左右される八百屋さんの店先のようなものですわね。

見るべきは、案件の完了件数と、これから積み上がる案件の「パイプライン」に関する経営陣のコメントですわ。株式市場が落ち着き、企業の資金調達の窓が開いていれば、起債やIPOの動きも出やすくなります。逆に、市場が荒れれば案件は先送りされがちですの。

もうひとつ、トレーディング部門にも目を向けたいところですわ。市場が動くと取引は活発になりやすく、収益の下支えになる場合もございます。ただし、これは前年同期との比較で語られることが多いので、基準となる前年の水準もあわせて確認しましょうね。

大手では、利ざやに強い銀行と、市場部門や投資銀行業務の比重が高い金融機関とで、決算の読みどころが違いますわ。同じ「金融株」とひとまとめにせず、それぞれの収益の柱を見分けるのが、おばさまの流儀ですのよ。

金融株への投資判断:堅調な配当利回りとPBR水準から見る向き合い方

最後に、株価の見方ですわ。PBRは、株価が一株あたり純資産の何倍かを示す指標ですの。お店でいえば、店舗や在庫を全部売ったときの値打ちに対して、どれだけの値札が付いているか、という見方ですわね。銀行株では昔から頼りにされる物差しですのよ。

あわせて、配当利回りと自社株買いも確認いたしましょう。ただし、利回りが高いことだけで安心はできませんわ。利益に対して無理のない配当か、自己資本の規制水準に十分な余裕があるか。この二点を確かめるのが肝心ですの。資本の余裕は、決算資料や、年に一度のストレステストの結果などからも読み取れますわ。

決算前に、わたくしなら次のような順番で眺めますわね。

  1. NIIの見通しが据え置きか、上向きか、下向きか
  2. 預金残高と預金コストの推移
  3. 商業用不動産と消費者ローンの延滞や償却の変化
  4. 投資銀行部門と市場部門のコメント
  5. PBRと配当利回りを、過去の自社水準やKBW銀行株指数の動きと比べる

決算は、数字そのものより、事前の期待との差で株価が動くことも多いと言われますわ。好決算でも売られたり、冴えない内容でも買われたりすることがございますのよ。ですから、結果を急いで追いかけるより、ご自身がどの前提で保有するのかを先に決めておくと、慌てずに済みますわ。

個別の銘柄については、わたくしなら、決算で預金コストと信用コストの落ち着きを確かめてから、静かに眺めたいところですわね。もちろん、最終的なご判断はあなたご自身で、無理のない資金の範囲で行ってくださいましね。

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