株おばちゃん

WTI原油75ドルの攻防:インフレ再燃リスクとエネルギー・輸送株の選別眼

秋風が立ちはじめ、WTI原油がじわりと持ち直してきましたわね。「ガソリンや電気代がまた上がるのでは」「エネルギー株を今から見直すべきかしら」と、迷っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。原油は株式市場全体の体温を左右する、いわば台所の火加減のようなものですわ。今回は70ドル台半ばという攻防の水準を手がかりに、インフレ再燃リスクの道すじと、恩恵を受けるセクター、打撃を受けるセクターの整理の仕方を、お茶を飲みながらお話しいたしますわね。

秋風とともに動意づくWTI原油:75ドル節目を巡るチャートと需給バランス

足もとのWTI原油は、70ドル台半ばの水準で、買いと売りが押し合いをしている様子ですわ。この価格帯には、今年の値動きの中で何度も反発や頭打ちを経験した「記憶」が残っております。チャートを読むうえで、この「何度も意識された価格」はとても大切ですのよ。ちょうど、お台所の同じ場所に何度も醤油をこぼすと染みが残るようなもので、市場参加者が繰り返し注目する価格帯ほど、節目として働きやすいのですわ。

なかでも75ドルは、心理的にも分かりやすい区切りです。ここを明確に上抜けて定着できるのか、それとも押し戻されるのかが、目先の分かれ道になりそうですわね。確認には移動平均線が役立ちます。移動平均線とは、お味噌汁の味見を毎日続けて「ここ数週間の平均的な塩加減」を見るようなもので、日々の乱高下をならして流れをつかむ道具ですの。株価が平均線の上で推移し、平均線そのものが上向いてくれば、上昇基調が強まっているサインと受け止められますわ。

需給の面では、いくつか見ておきたい点がございます。供給側ではOPECプラスの生産方針、需要側では冬に向けた暖房用燃料の動き、そして米国のエネルギー省(EIA)が毎週発表する原油在庫統計ですわね。ただ、これらは要因が複雑に絡み合うもので、どれか一つで値動きを断定できるものではございません。正確な終値や前日比は、Yahoo!ファイナンスやCMEグループの公表値で、ご自身の目でご確認くださいましね。

原油高が突きつける課題:米インフレ期待とFRB金融政策への波及経路

原油の値上がりが厄介なのは、ガソリン代だけにとどまらないところですわ。原油はプラスチック、肥料、輸送費、航空運賃と、暮らしのあらゆる品物の「だし」のように染み込んでおります。ですから原油が上がると、企業のコストが増え、それが価格に転嫁され、消費者物価を押し上げる可能性が出てまいりますのよ。

市場が気にするのは、足もとの物価そのものよりも、人々の「これから物価は上がるだろう」という期待、つまりインフレ期待ですわ。原油が上昇基調を強めると、この期待が高まりやすくなります。そうなるとFRB(米連邦準備制度理事会)は、利下げに慎重にならざるを得ませんわね。長期金利が上がりやすくなれば、将来の利益を重く割り引いて評価するため、とくに成長株には逆風となりがちですの。

とはいえ、ここは冷静に見たいところですわ。原油の上昇がインフレ全体にどこまで影響するかは、上昇の速さや、それが続く期間によって変わります。一時的な反発であれば、物価全体への影響は限定的というケースも少なくありません。次回のFOMCに向けては、米国の物価指標や当局者の発言が注目されますので、原油だけでなく、金利や為替と合わせて眺める姿勢が大切ですわね。

日本の私たちにとっては、原油がドル建てで取引される点も忘れてはいけませんわ。円安が進んでいれば、円建ての輸入コストはさらに膨らみます。原油高と円安が重なる局面では、国内のインフレ懸念も強まりやすいことを、頭の片隅に置いておきましょうね。

好業績・高配当が光るエネルギーセクターと、コスト増に直面する輸送・化学セクターの明暗

原油価格が上向くと、市場の資金が動く先にも変化が出てまいります。これがセクターローテーション、つまり「その時々の追い風を受ける業種へ、資金の居場所が移っていく動き」ですわ。季節ごとに衣替えをするように、相場にも着替えの時期があるのですのよ。

追い風を受けやすいのは、石油・天然ガスの開発や、資源権益を持つ企業などのエネルギー株ですわ。販売価格が上がれば利益が増えやすく、エネルギー株には配当に前向きな企業も多いため、インカム狙いの視線も集まりがちです。配当利回りとは、持っている果樹から毎年とれる果実の割合のようなもの。ただし、原油価格が下がれば実りも減りますから、利回りの高さだけで安心しないことが肝心ですわ。たとえば国内の資源開発企業などは、原油価格との連動性を確認しながら、わたくしなら業績の見通しと配当方針をじっくり眺めますわね。

一方、コスト増に直面しやすいのが、航空などの輸送セクターや、ナフサを原料とする化学セクターですわ。燃料費や原料費が上がっても、すぐに販売価格へ転嫁できるとは限りませんの。利益が圧迫されやすい構図ですのよ。ただし企業ごとに差があり、燃料費の調整制度を持つ事業者や、為替や原料の調達を工夫している企業もございます。電力・ガスも、燃料費調整の仕組みでタイムラグが生じる点を押さえておきたいところですわ。

ですから、「エネルギーは追い風、輸送や化学は逆風」と一括りにせず、各社の決算資料で、コストの転嫁力や価格改定の動きを確かめてくださいましね。資源関連が値を上げているからといって慌てて飛びつくのも、もう少し様子を見たいところですわね。

コモディティの波乱期におけるポートフォリオ防衛術:慌てず見極める分散投資の知恵

原油をはじめとするコモディティ、つまり商品相場は、天候や地政学、需給の変化で大きく揺れる、少々気まぐれなお客さまですわ。こうした波乱期に頼りになるのは、やはり分散ですのよ。卵を一つの籠に盛らない、という昔ながらの知恵ですわね。

具体的には、次のような点を点検してみてはいかがでしょう。

  1. 保有株がエネルギーコストの上昇に弱い業種へ偏っていないか
  2. 成長株が多い場合、金利上昇への耐性を確認できているか
  3. 配当や資源関連を少し加えるとしても、全体に占める比率を無理のない範囲に抑えているか
  4. 現金の比率を保ち、急な値動きでも慌てずに済む余力があるか

エネルギー関連を加える際にも、ひとつの業種に一気に傾けるのではなく、時間を分けて少しずつ検討する方法がございます。原油価格に連動する投資信託やETFを利用する場合は、先物の仕組み上、価格の動きと運用成績にずれが生じることもありますので、商品性をよくお読みになってね。

大切なのは、「原油が上がったから」という理由だけで、ポートフォリオを大きく組み替えないことですわ。70ドル台半ばの攻防が上抜けに向かうのか、押し戻されるのかは、わたくしにも断言はできません。だからこそ、金利、為替、そして企業業績という複数の灯りを頼りに、ゆっくり進むのが賢明かと存じます。最終的な投資判断は、ご自身の資金計画とお気持ちに照らして、どうぞ落ち着いてなさってくださいましね。

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