株おばちゃん

米利下げとラッセル2000:S&P500からの資金循環と小型株選別の要点

大型ハイテク株の調整が続くなか、「ラッセル2000にお金が移っている」という声を耳にして、気になっている方も多いのではないかしら。この動きが一時の気まぐれなのか、利下げサイクルに乗った本物の流れなのか、そして中小型株には何に気をつけるべきか。今日はその3点を、お茶を飲みながらゆっくり整理してまいりましょうね。なお、本日の指数の水準や騰落率は、Yahoo!ファイナンスや証券会社の画面でご確認くださいませ。わたくしは構造と見方のお話に絞りますわ。

大型テックから中小型株へ:ラッセル2000に見られる出遅れ修正の兆し

まず前提を整えましょう。S&P500 は米国を代表する大型株500社の指数で、時価総額の大きな会社ほど指数への影響が大きくなる仕組みですの。そのため近年は、ごく一握りの大型ハイテク株の値動きが、指数全体の表情を決めてきましたわ。

一方の ラッセル2000 は、米国の中小型株およそ2000社で構成される指数です。景気や金利の影響を受けやすく、「米国経済の体温計」とも呼ばれますのよ。大型テックが指数をけん引する局面では、この指数は見劣りする時期が長く続いておりました。

このように指数同士の差が開いたあとは、割安に放置された側へ資金が戻る「出遅れ修正」が起きやすいと、市場では昔からよく言われますの。お隣の畑ばかり豊作で、こちらの畑はまだ実っていない状態、とでも申しましょうか。ただ、差が開いていること自体が上昇の理由になるわけではありませんわ。

大切なのは、その動きが一部の日だけなのか、数週間にわたり続くのかを見分けることですわね。

  1. ラッセル2000とS&P500の比率チャートが、じわじわ改善を続けているか
  2. 上昇が一部の業種に偏らず、金融・資本財・ヘルスケアなど幅広く及んでいるか
  3. 出来高が伴っているか

この3点を確かめたいところですの。大型株が下がった日にだけ小型株が持ち直す動きは、資金が本当に移ったというより、一時的な避難先にすぎないこともありますのよ。本物かどうかは、数日ではなく数週間の単位で、ゆっくり見極めましょうね。

借入コスト低減の恩恵と業績回復:利下げサイクルが小型株に与える実質的インパクト

では、なぜ 利下げサイクル で中小型株が注目されるのかしら。理由の中心は「借入コスト」ですわ。

中小型株は、大型株に比べて銀行借入や変動金利の債務に頼る割合が高いと指摘されることが多いのです。大企業は低利で長期の社債を発行できますが、小さな会社はそうもまいりませんものね。政策金利が下がれば、利払い負担が軽くなり、そのぶん利益がふくらみやすくなります。家計にたとえるなら、変動金利の住宅ローンの返済額が下がって、お台所に余裕が生まれるようなものですわ。

米連邦準備制度理事会(FRB)は2024年秋に利下げを開始しました。それ以降の金利の水準と今後の道筋は、FRBの公式発表でご確認いただきたいのですが、中小型株にとって追い風になりうる環境であることは確かですの。

ただし、金利が下がれば自動的に株価が上がる、という単純な話ではありませんわ。利下げが「景気の減速への対応」として行われている場合、売上の伸びが鈍り、利払い軽減の効果が打ち消されることもありますの。小型株は景気に敏感ですから、見るべきは次の2点ですわ。

  1. 利下げの理由が「物価の落ち着き」なのか「景気の悪化」なのか
  2. 長期金利まで一緒に下がっているか(企業の借り換えコストに響くのは、むしろ長めの金利です)

短期金利だけが下がって長期金利が下がらない場合、借り換えの恩恵は思ったほど届かないこともありますのよ。ここは、お鍋の火加減を見るつもりで丁寧に確認したいところですわね。

注意深く見極めたい「質の差」:赤字企業比率と財務健全性(インタレスト・カバレッジ・レシオ)のチェック

ここが今日いちばんお伝えしたい部分ですわ。ラッセル2000は、一言で「小型株」と言っても、中身の質に大きなばらつきがあります。

よく指摘されるのが赤字企業の多さですの。構成銘柄のうち、直近の純利益が赤字の会社が全体のかなりの割合、しばしば「およそ3〜4割」と言われますわ。S&P500と比べるとずっと多いのです。利下げという追い風が吹いても、利益の出ていない会社まで同じように恩恵を受けるとは限りませんのよ。指数全体が上がるとき、その上昇に赤字企業が含まれていることも忘れずにいましょうね。

そこで目を通したいのが インタレスト・カバレッジ・レシオ という指標ですわ。難しそうな名前ですけれど、お家の事情にたとえると分かりやすいですの。「毎月の稼ぎで、ローンの利息を何回ぶん払えるか」を表す数字ですのよ。

計算は、営業利益(またはEBIT)を、支払利息で割ります。

  1. 数値が高いほど、利息を払う余裕が大きいということ
  2. 1倍を下回れば、本業の稼ぎだけでは利息をまかなえていない状態
  3. 一般に、2〜3倍を下回ると慎重に見られることが多いようですわ

利下げで利払い負担が軽くなれば、この数字は改善に向かいます。ただ、もともと余裕のない会社は、改善しても綱渡りが続く場合がありますの。あわせて、次の点も眺めたいところですわね。

  1. 今後2〜3年のうちに返済期限を迎える債務の多さ
  2. フリーキャッシュフロー(自由に使えるお金)が黒字か
  3. 増資や転換社債で株主の持ち分が薄まっていないか

各社の数値は、米国証券取引委員会(SEC)のEDGARに載る10-Kや10-Qで確認できますわ。慣れるまでは手間ですけれど、開示資料を一度読んでおくと見え方がずいぶん変わりますのよ。

秋相場での向き合い方:指数ETF活用と個別銘柄選別のバランス

では、実際にどう向き合えばよいのかしら。まず、中小型株の選別は想像以上に骨が折れる作業ですわ。そこで、指数に連動するETFを使うかどうかを考えてみましょう。

ラッセル2000に連動する商品は、日本の証券会社でも買える米国上場ETFがありますの。個別に会社を選ぶ手間が省け、分散も効きます。ただし、前の章でお話しした通り、赤字企業も丸ごと含まれますわね。これは「お惣菜の詰め合わせ」のようなもので、手軽な反面、好みでない品も入っていますの。

一方、個別銘柄を選ぶなら、利益が黒字、インタレスト・カバレッジ・レシオに余裕があり、債務の返済期限が分散している、といった条件で絞り込む考え方がありますわ。ただし小型株は出来高が少なく、値動きが荒くなりがちですの。ニュース一つで大きく動く点には、くれぐれも注意なさってね。

進め方としては、次のような考え方があると思いますわ。

  1. 資産全体に占める小型株の割合を、あらかじめ小さめに決めておく
  2. 一度に買わず、時期を分けて少しずつ積み上げる
  3. 為替の影響(円ベースの損益はドル円で変わります)も頭に入れておく

わたくしなら、S&P500などの大型株を土台に置き、小型株は「味付けの調味料」くらいの比率で、様子を見ながら加えていくイメージで眺めますわ。もちろんこれは一つの考え方にすぎません。ご自身の資金状況や、お気持ちに無理のない範囲で、投資判断はあなたご自身でなさってくださいましね。

大型テックの調整が一巡するのか、小型株への資金シフトが続くのか、それは今後の経済指標とFRBの舵取り次第ですわ。慌てず、数字を一つずつ確かめながら、ゆっくり歩んでまいりましょうね。

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