株おばちゃん

金価格最高値圏での守備力点検:実質金利と配分比率5%から始める資産防衛

金が最高値圏にあると聞くと、「今から買っては高値づかみになるのでは」と手が止まりますわよね。株の値動きが荒い秋ならなおさらですわ。本日は祝日で東京市場はお休みですから、お茶をいただきながら落ち着いて考えてみましょう。金を値上がり益だけで追いかけるのではなく、ポートフォリオの守備を固める道具として見たとき、どのくらいの量をどんな形で持てばよいのか。わたくしなりの答えをお話ししますわね。

最高値圏を保つ金価格:利下げサイクル入りと実質金利低下がもたらす追い風

金は、持っていても利息も配当も生みません。いわば、お庭に置いた立派な石灯籠のようなものですわ。そのため、預金や国債の実質的な利回りが高いと見劣りし、低いと魅力が増すのです。

ここで出てくるのが 実質金利 です。名目の金利から物価上昇率を引いた、手元に残る本当の利回りのことですわ。お給料が1%増えても物価が3%上がれば暮らしは苦しくなりますでしょう。あれと同じ理屈ですの。利下げが意識されて名目金利が下がり、物価がなかなか落ち着かない局面では、実質金利は下がりやすくなります。すると利息のつかない金を持つ負担が軽くなり、金価格に追い風が吹きやすいのですわ。

個人的には、この金利と金価格の関係を、金を見るときの出発点にしておけば足りると考えております。ただし、これは過去の傾向であって、毎回きれいに当てはまる保証はございません。具体的な価格水準は、田中貴金属工業の店頭価格や、取引所の金先物の終値でご自身の目で確認なさってくださいまし。わたくしは、水準そのものより、なぜ高いのかという理由の方をお伝えしたいのですわ。

新興国中央銀行による外貨準備の多極化:下値を支える実需の厚み

もう一つの支えが、各国の中央銀行による 金の買い増し ですわ。ワールド・ゴールド・カウンシルの集計では、中央銀行の金購入は2022年から2024年まで3年続けて年間1000トンを超える水準でした。それ以前の10年ほどの平均よりかなり多いと言われておりますのよ。

背景には、外貨準備をドルだけに偏らせたくないという考えがあります。2022年にロシアの外貨準備が凍結されたことは、多くの国に「他国の資産は止められることがある」と印象づけました。金は誰の債務でもない資産ですから、そこに安心を見いだす国が増えたのですわね。

投資家の売り買いは気分で動きますが、中央銀行は長期の方針で動きます。短期の値動きに一喜一憂せず、じっくり買い続けるお客さまが市場にいるのは、下値の心強い支えと言えますわ。とはいえ、買い手が厚いことは、価格が下がらないことを意味しません。高値圏では、利益確定の売りだけで数%下がることも珍しくございませんもの。

株式と逆相関だけではない金本来の価値:インフレヘッジと通貨価値希薄化への備え

「株が下がると金が上がる」と思われがちですが、実際はそう単純ではありませんの。2022年は株も債券も大きく下げた年でしたが、金は年間で見るとほぼ横ばい圏に踏みとどまりました。上がって守ったというより、崩れずに耐えた、というのが正確な姿ですわ。

金の本来の役割は、通貨の価値が薄まることへの備えだとわたくしは考えます。紙幣はいくらでも刷れますが、金は掘り出せる量に限りがあります。物価が上がり、お金の購買力が目減りする局面で、金が価値の物差しとして見直されやすいのはそのためですわ。

円で投資する方は、為替にもご注意くださいましね。日本で買う金は円建て価格ですから、ドル建ての金価格が横ばいでも、円高になれば円建ての価格は下がります。逆に円安は円建ての価格を押し上げます。金の値動きに為替の揺れが重なることは、頭の片隅に置いておきたいところですわ。

金ETF・純金積立・金鉱株:初心者におすすめの保有形態と手数料の差

金の持ち方は大きく三つに分かれますが、性格はずいぶん違いますのよ。

金ETFは、証券口座から株と同じように売買でき、保有中のコストは信託報酬として年0.4%前後の商品が多いようですわ。純金積立は、毎月少額から続けられるのが魅力ですが、購入時に手数料がかかる会社が多く、水準は会社ごとに差がございます。申し込む前に、手数料と、現物で受け取る場合の追加費用をよく見比べてくださいまし。

金鉱株は、金そのものとは別物と考えておいた方が安全ですわ。金価格が上がれば業績が大きく伸びる一方、採掘コストや経営の問題で、金価格が上がっても株価が冴えないこともあります。守りの役を期待するには、値動きがやや荒い道具ですの。

初心者の方には、わたくしなら、まず手数料の見通しが立てやすいETFか、少額から続けられる積立のどちらかを眺めますわ。高値圏と気になる方は、一度にまとめて買わず、数か月に分けて少しずつ買う方法もございます。購入のタイミングを一回に賭けずに済み、気持ちもずっと楽になりますもの。どれを選ぶかは、ご自身の暮らしと照らして決めてくださいましね。

ポートフォリオ比率5〜10%の心地よさ:波乱の秋を乗り切るお守りとしての配分術

金の保有比率は、資産全体の5〜10%程度が一つの目安とされることが多いですわ。お料理でいえば、隠し味のお醤油のようなものでしょうか。少なすぎれば効き目がわからず、多すぎれば料理が台無しになります。

個人的には、この目安のなかでも、慣れないうちは5%寄りから始めるのがよろしいと思いますの。10%を超えると、金が下げた局面で全体の足を引っ張る場面が出てまいります。金は値動きの大きな年には、一年で1割以上動くこともございますから、気持ちの上でも大きな比率は負担になりますわ。

そしてもう一つ、金を買ったことで安心して、株の持ち方を雑にしてはいけませんわ。金は ポートフォリオ分散 の一部であって、全体の守りを任せきりにするものではございません。株、債券、現金、金、それぞれに役割があり、金が受け持つのは通貨や金利の変調に備える部分だけですの。

来週以降も米国の物価や雇用に関する指標の発表が予定されております。実質金利の動きを通して金価格にも響きますので、慌てて動く前に、まずご自分の資産のうち金がいま何%を占めているのか、電卓で確かめてみてくださいましね。

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