株おばちゃん

長期金利1%時代の銀行株とJ-REIT:利ざや拡大と分配金スプレッドの配分法

金利が上がると銀行株には追い風、J-REITには向かい風と言われますけれど、実際にどちらをどれだけ持つべきか、迷っていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。国内の長期金利が1%台で定着しつつある今、銀行株の利ざや拡大期待とJ-REITの分配金利回りを、お茶をいただく気分で並べて整理してみましょう。極端な二択に走るのではなく、両方を上手に組み合わせるポートフォリオの考え方をお話しいたしますわね。

秋の東京市場で進む金利再評価

まず大前提として、国内長期金利の指標である新発10年国債利回りは、かつての「ゼロ近辺」の時代を抜け、1%台での推移が意識される局面に入っております。日銀の利上げが段階的に進み、市場が「低金利が当たり前」という前提を見直してきた結果ですのよ。最新の水準は、日本相互証券や財務省、日経新聞の債券市場欄などでご確認くださいね。ここでは日々の細かな数字の揺れよりも、「1%台が新しい居場所になりつつある」という大きな流れを押さえておきたいところですわ。

この再評価は、いわば長年使ってきたお台所の物差しの目盛りを付け替える作業のようなものです。目盛りが変われば、預金、債券、株、REITといった「お鍋の中身」の見え方もすべて変わりますの。銀行株が注目され、J-REITが重くなりがちなのは、この物差しの付け替えを市場が織り込んでいる最中だからと見受けられますわ。

ただし、市場心理は行ったり来たりするものですわね。利上げ観測が強まれば金利は上がり、海外の景気不安が高まれば下がる、という具合に、日々の値動きは気まぐれな側面もございます。大切なのは目先の上下よりも、「金利の水準が数年前と比べて切り上がった」という構造の変化のほうですのよ。

メガバンクと地銀の収益点検

銀行の稼ぎの基本は「貸出金利と預金金利の差」、つまり利ざやですわ。ご家庭で言えば、お野菜を仕入れ値より少し高く売って商いをするようなものですわね。金利が上がると貸出金利は比較的早く上がりやすく、預金金利は慎重に引き上げられる傾向があるため、利ざやが改善するという期待が生まれますの。これが銀行株への追い風の正体ですわ。

とはいえ、良いことばかりではございません。銀行は国債などの債券を多く保有しており、金利が上がると債券価格は下がるため、保有債券の含み損 が膨らみやすくなりますのよ。とくに債券の運用比率が高い先では、決算で評価損益が話題になりやすいのです。含み損は売却しなければ確定損失にはなりませんが、自己資本や今後の運用方針への影響は見ておきたいところですわね。

メガバンクは海外事業や手数料収入など収益源が幅広く、金利上昇の恩恵を受けやすい一方で、一つの要因だけに左右されにくい逞しさがございます。対して地方銀行は、地域ごとの貸出需要や債券ポートフォリオの差が大きく、同じ「銀行株」でも中身はずいぶん違う ものですわ。わたくしなら、各社の決算説明資料にある「貸出金利回り」「預金利回り」「有価証券評価損益」の三点をまず並べて眺めますわね。個別の銘柄選びは、どうぞご自身で丁寧に吟味なさってくださいね。

逆風に耐えるJ-REITの現状

J-REITは、オフィスや商業施設、住宅、物流施設などの不動産を束ねて、その賃料収入を分配金として投資家に届ける商品ですわ。金利上昇局面で軟調になりやすいのには、二つの理由がございますの。一つは、借入コストの増加懸念です。J-REITは銀行借入や投資法人債で資金を調達しておりますので、金利が上がれば将来の支払利息が増え、分配金の押し下げ要因になり得ますわ。

もう一つは、利回りの相対的な魅力の変化です。ここで意識されるのが スプレッド という考え方ですの。これは、J-REITの分配金利回りから10年国債利回りを引いた「利回りの上乗せ分」のこと。お茶請けに例えるなら、「いつもの羊羹に、どれだけ特別な栗が乗っているか」の差ですわね。J-REIT全体の分配金利回りはおよそ4%台で推移するケースが多く、国債利回りが1%台なら、おおよそ2〜3ポイント程度の差が一つの目安になりますわ。正確な数値は、東京証券取引所やJPXの公式データ、各投資法人の開示資料でご確認くださいね。

このスプレッドが縮めば「値動きのリスクを取ってREITを持つ妙味が薄い」と受け取られやすく、広がれば割安感が意識されます。ただ、物件の賃料改定が進んで分配金を伸ばしている投資法人もございますし、保有物件の用途によっても事情は異なりますの。利回りの高さだけで選ぶと、借入比率の高い先を拾ってしまう こともございますので、有利子負債比率(LTV)も合わせて確認するのが大人の作法ですわ。

インカムゲイン再設計

さて、いよいよ配分の考え方ですわね。銀行株の配当利回りはおよそ3%前後の銘柄が多く、J-REITの分配金利回りよりは低めに見えますけれど、銀行株は増配や株価の値上がりも期待しやすいのが特徴ですの。J-REITはインカム(分配金)が主役で、値上がり益は控えめになりがち。つまり 「利回り」の数字だけで両者を同じ土俵に乗せるのは、少し乱暴 なのですわ。

そこで、配分の考え方を一例としてご紹介しますわね。あくまで考え方のたたき台であり、特定の投資比率を推奨するものではございません。

  1. 金利上昇の恩恵を取りにいく金融セクターを4
  2. 安定した分配金を狙う不動産(J-REIT)を3
  3. 値動きに備える現金・短期資産を3

このように、「攻め」「守り」「余力」の三つに分けておくと、金利が急に動いたときも慌てずに済みますわ。金利がさらに上がるシナリオを意識するなら金融をやや厚めに、金利上昇が一服して景気の落ち着きを見るならREITや現金を厚めに、というようにご自身の見通しに合わせて調整できますのよ。

一度に全額を投じるのではなく、数回に分けて少しずつ買い付ける「時間の分散」も、ぜひ組み合わせたいところですわね。お料理の塩加減と同じで、最初から入れすぎると取り返しがつきませんもの。

お茶を一杯いただきながら

金利のお話は、政策や指標のニュースが出るたびに市場が大きく揺れますので、つい心がざわついてしまいますわね。けれど、ここまで見てきたとおり、銀行株には利ざや改善という追い風と債券含み損という重しが、J-REITには借入コスト増という逆風と安定した分配金という強みが、それぞれ同居しておりますの。どちらかが絶対の正解というより、ポートフォリオの中での役割が違う のですわ。

この先も日銀の金融政策決定会合や海外の中央銀行の動向など、金利を動かしそうなイベントが予定されておりますわね。そのたびに一喜一憂するのではなく、見るべきは「金利という物差しの目盛りがどこへ向かっているか」という大きな方向性と、ご自身の資金の余力ですわ。

今日わたくしがお話ししたことは、あくまで考え方の整理でございます。個別の銘柄や商品の売買につきましては、最新の決算資料や開示データをご覧になったうえで、ご自身の判断でお決めになってくださいね。温かいお茶を片手に、焦らずじっくりと資産設計を進めてまいりましょう。

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