株おばちゃん

相場格言36選:損切り・逆張り・噂との付き合い方をおばさまが読み解く

相場で迷ったとき、わたくしが最後に頼るのは、案外むかしから伝わる格言ですの。チャートの読み方は時代とともに変わりますけれど、欲や怖さに振り回される人の心は、百年前もいまもそれほど変わりませんものね。このページでは、これまで一つずつご紹介してきた格言を 5 つのテーマに分けて、意味と使いどころをまとめ直しました。全部を覚える必要はございません。今のご自分に刺さるものを一つ見つけていただければ十分ですわ。

人と同じ道を選ばない: 逆張りと群集心理の格言

人の行く裏に道あり花の山

(ひとのいくうらにみちありはなのやま)

大勢と同じ動きをするより、あえて反対を選んだほうが大きな実りを得られる、という意味ですわ。皆さまが強気一色のときは相場が天井圏に近く、悲観一色のときは底値圏に近いことが多い、とよく言われますの。

ただ、正直に申し上げると、わたくしはこの格言を「いつも逆を行け」とは読んでおりません。人と違う道に花が咲いているのは、その道を選んだ理由を自分で説明できるときだけ。理由のない逆張りは、ただの天邪鬼ですものね。

麦わら帽子は冬に買え

(むぎわらぼうしはふゆにかえ)

皆さまに注目される前に買っておけば、値上がりを待てる、という教えですわ。季節もののお話に限らず、まだ話題になっていない有望な会社を先回りして見つけておく大切さを言っていますの。冬の麦わら帽子が安いのは、誰も欲しがらないから。その「誰も欲しがらない理由」が一時的なものかどうかを見極めるのが、腕の見せどころですわね。

美人投票

(びじんとうひょう)

経済学者のケインズが、1936 年の著書で株式投資を新聞の美人投票にたとえた話がもとになっていますの。自分が美しいと思う人ではなく、ほかの投票者が選びそうな人に投票したほうが当たる。株も同じで、自分の好みより、ほかの投資家が買いたくなる銘柄のほうが値上がりしやすい、という意味ですわ。

前の二つの格言と、少し逆のことを言っているのが面白いところですの。わたくしは、人と違う視点で銘柄を見つけて、人が気づき始める前に持っておく、くらいの折り合いのつけ方をしておりますわ。

天災は買い向かえ

(てんさいはかいむかえ)

天災のような突発的な出来事で株価が大きく下がっても、会社そのものがしっかりしていれば株価は戻ることが多い。だから慌てて売らず、むしろ買いの機会と考えなさい、という格言ですわ。

とはいえ、被害が会社の事業そのものに及ぶ場合は話が別ですのよ。「その会社の稼ぐ力は変わったのかしら」と一度立ち止まって確かめるのが、わたくしの決まりごとですわ。

閑散に売りなし

(かんさんにうりなし)

出来高や売買代金が細って相場が閑散としているときは、売りがひととおり出尽くしていることが多く、底値に近い場合がある、という意味ですの。何かの材料をきっかけに急に上がることもあるので、静かだからといってうっかり売ってしまうと後悔しかねませんわ。下がって元気のない相場を見ていると売りたくなるお気持ち、わたくしもよく分かりますけれど。

流れを読む: トレンドと値動きのくせの格言

The trend is your friend.

「トレンドは友達」。米国の投資家マーティン・ツバイクの言葉として知られていますわ。市場の大きな方向を見極めて、流れに逆らわずに投資するほうが賢明だ、という考え方ですの。逆張りの格言と並べると矛盾して見えますけれど、わたくしは「大きな流れには乗り、小さな行き過ぎには逆らう」と使い分けておりますのよ。

漁師は潮をみる

(りょうしはしおをみる)

漁師さんは目の前の魚ではなく、天気や潮の流れを見て漁場を決めるもの。投資でも、目先の銘柄だけを追いかけず、相場全体の大きな流れをつかむことが大事、という教えですわ。金利や為替の向きを先に確かめてから個別の銘柄を眺める、わたくしの順番もこの格言から来ていますの。

山高ければ谷深し

(やまたかければたにふかし)

大きく急上昇した相場は、そのあと大きく下がるおそれもある、という意味ですわ。上がって喜んでいたら翌日には急落、ということも珍しくございません。勢いよく上がっている銘柄ほど、利益が乗っているうちに冷静に持ち高を見直したいところですわね。

天井三日底百日

(てんじょうみっかそこひゃくにち)

株価が高値圏にいる期間は短く、底値の近くでもみ合う期間のほうがずっと長い、という格言ですの。天井はあっという間に過ぎてしまうので、欲張らずに早めに利益を確定することも大切ですわ。逆に言えば、底値圏では焦らず時間をかけて仕込めばよい、ということでもありますわね。

三割高下に向かえ

(さんわりこうげにむかえ)

基準になる株価から三割上がったら売り、三割下がったら買いを考える目安、という意味ですわ。三割という数字に根拠があるわけではございませんけれど、「ここまで動いたら一度考える」という線をあらかじめ引いておく習慣は、欲張りすぎを防いでくれますのよ。

株価の里帰り

(かぶかのさとがえり)

株価は上がったり下がったりしても、いずれ元の水準に戻ってくることがある、という意味ですわ。会社の実力に見合った値段に落ち着く、と言い換えてもよいかしら。ただし、会社の実力そのものが変わってしまったら、帰る里も変わってしまいますの。

安値覚え

(やすねおぼえ)

株価が上がって水準が変わったのに、昔の安値が忘れられず「またすぐ下がるはず」と思い込んで、良い判断ができなくなることを言いますの。わたくしにも覚えのある失敗ですわ。過去の値段より、いまの会社の姿を見て判断したいものですわね。

押し目待ちの押し目なし

(おしめまちのおしめなし)

上がった株が一度下がったところで買おうと待っていたら、まったく下がらずに上がり続けてしまった、という状態ですわ。待っていた分だけ悔しくなって、高いところで飛びついてしまうのがいちばん危ないのですのよ。買えなかった銘柄は、ご縁がなかったと思うくらいでちょうどよいと、わたくしは考えております。

掉尾の一振

(とうびのいっしん)

年末に向けて株価が上がりやすい、という言い伝えですわ。12 月は株価が上がりやすい月ともいわれますけれど、毎年そうなるわけではございません。暦だけを頼りに買うのではなく、おまけ程度に覚えておくのがよろしいかしら。

The market can stay irrational longer than you can stay solvent.

「市場は、あなたが支払い能力を保てるよりも長く、不合理なままでいられる」。ケインズの言葉として広く知られていますけれど、実際の出典ははっきりしないとも言われますの。「下がるはず」「上がるはず」と理屈で考えても、市場はその理屈どおりに動くとは限らず、しかもその状態が長く続くことがある、という戒めですわ。信用取引などで無理をしていると、自分の読みが正しかったと分かる前に退場させられてしまいますのよ。

売り時と損切り: 手じまいの格言

見切り千両

(みきりせんりょう)

含み損を抱えた株は、損の小さいうちに見切りをつけなさい、という意味ですわ。大損を避けられるなら、それには千両の価値がある、ということですの。損切りには勇気がいりますけれど、大損はもっと嫌なもの。わたくしは、買う前に「ここまで下がったら手放す」という線を決めてから注文するようにしておりますわ。

買い二分に売り八分

(かいにぶにうりはちぶ)

買いのタイミングよりも、売りのタイミングのほうがずっと大事、という格言ですの。株で利益を残せるかどうかは、売りの腕にかかっている、ということですわね。買うときはあれこれ調べるのに、売るときは気分で決めてしまう。そんなご経験、ございませんこと?

意地商いは破滅の因

(いじあきないははめつのもと)

相場が自分の読みと反対に動いたとき、意地になって持ち続けてはいけない、という戒めですわ。「ここで売ったら負けを認めることになる」という気持ちこそが、損を大きくしてしまいますの。大きな損失になる前に退くのも、立派な判断ですわ。

両建て両損

(りょうだてりょうぞん)

同じ銘柄の売りと買いを両方持って、どちらに動いても利益を得ようとしても、手じまいのタイミングが難しく、結局どちらも損になりがち、という意味ですの。迷ったときに両方持つのは、決断を先延ばしにしているだけ、ということもございますわね。

指値は取り消すな

(さしねはとりけすな)

落ち着いて分析したうえで決めた指値注文は、案外当たっていることが多いもの。目先の値動きに惑わされて、指値を変えたり取り消したりしないほうがよい、という教えですわ。注文を出したら、あとは画面から少し離れて、お茶でもいただくくらいがちょうどよいかしら。

噂と他人の話: 情報との付き合い方の格言

早耳の早倒れ

(はやみみのはやだおれ)

情報の早さや市場の噂にばかり気を取られるより、自分の判断で売買するほうがよい、という意味ですわ。SNS でいち早く情報が手に入る時代だからこそ、振り回されないように気をつけたいものですわね。

筋の耳うちは信用するな

(すじのみみうちはしんようするな)

仕手筋や情報通を名乗る人のおいしい話には乗るな、という格言ですの。本当に儲かる話なら、わざわざ他人に耳打ちなどしませんものね。投資の道に近道はない、ということですわ。

当たり屋につけ

(あたりやにつけ)

予想がよく当たって儲けている人がいたら、その人についていきなさい、という意味ですわ。上手な人のやり方に学ぶのは大切ですけれど、わたくしは疑い深いので、そっくりそのまま真似するのは控えておりますの。当たり屋さんの運がいつまで続くかは、誰にも分かりませんもの。

飛びつく魚は釣られる

(とびつくさかなはつられる)

ニュースや SNS で話題になっている銘柄、好材料が出た銘柄に慌てて飛びつくと、損をするかもしれない、という戒めですわ。自分で情報を集め、落ち着いて考えてからでも遅くはございません。目の前にぶら下がった餌ほど、針がついているものですのよ。

他人を頼るべからず、自力を頼むべし

(たにんをたよるべからず、じりきをたのむべし)

他人に頼りすぎてはいけない、という教えですわ。情報や手法を参考にするのは結構ですけれど、自分の余力や力量に合わないやり方をそのまま真似しても、うまくいきませんの。

相場師は孤独を愛す

(そうばしはこどくをあいす)

上手な投資家は群れない、という意味ですわ。愚痴も自慢話もせず、淡々と利益を積み重ねていく。人の話を鵜呑みにせず、最後は自分で決める、という姿勢を言っていますの。なんだか格好のよいお話ですわね。

心構えと準備: 長く続けるための格言

相場は明日もある

(そうばはあしたもある)

飛びつき買いをせず、機会をじっくり待ちなさい、という意味ですわ。今日買えなくても、相場は明日も開きますもの。焦りは禁物、とわたくしは毎朝お茶を淹れながら自分に言い聞かせておりますのよ。

眠られぬ株は持つな

(ねむられぬかぶはもつな)

心配で夜も眠れなくなるような投資はしてはいけない、という格言ですの。よく分からない会社の株を買ったり、リスクを取りすぎたりしていないか。生活に必要なお金ではなく、余裕資金で運用することが前提ですわね。

心ゆるめば財布もゆるむ

(こころゆるめばさいふもゆるむ)

相場で大きく儲けたあとは、気がゆるんで財布の紐もゆるみ、思わぬ損をしがち、という意味ですわ。もう一度大儲けしようと無理な取引をしてしまう、ということもございますわね。勝ったあとこそ平常心、ですわ。

名人は相場の恐さを知る

(めいじんはそうばのこわさをしる)

相場で勝ち抜いてきた名人ほど、相場の怖さを知っていて、無理をせず慎重に動く、という意味ですの。生き残るためには謙虚さが大事、ということですわね。

備えあれば迷いなし

(そなえあればまよいなし)

投資には、自信と決断、そして十分な余力が大切だ、という教えですわ。買う銘柄をよく調べておけば、値動きに迷わされることも少なくなりますの。

卵は一つのカゴに盛るな

(たまごはひとつのかごにもるな)

一つの銘柄や資産に集中せず、分散して投資したほうがリスクを抑えられる、という考え方ですわ。集中した銘柄が思いどおりに動けばよいのですけれど、逆に動いたら大変ですもの。カゴを落としたら卵は全部割れてしまいますわね。

相場の器用貧乏

(そうばのきようびんぼう)

目先の小さな利益を取るのは上手でも、大きな成果を上げるのは苦手、という状態を言いますの。小手先の売買ばかりでは大きな利益は得られない、相場の流れを大きくつかむことが大事、という戒めですわ。

Do more of what works and less of what doesn’t.

「うまくいくことを増やし、うまくいかないことを減らす」。米国のファンド運用者スティーブ・クラークの言葉として、投資家インタビュー集で紹介されていますわ。自分がどんな取引で勝てているのかを正確に知り、そこに集中しなさい、ということですの。そのためには、売買の記録をつけておくのがいちばんの近道ですわね。

The hard work in trading comes in the preparation.

「トレードの苦労は準備のなかにある。実際の売買は、努力のいらないものであるべきだ」。投資家インタビュー集の著者として知られるジャック・シュワッガーの言葉ですわ。買いたい銘柄や相場の状況を事前にとことん調べておけば、売買そのものは淡々とこなせる、という意味ですの。

The goal of a successful trader is to make the best trades. Money is secondary.

「成功するトレーダーの目標は、最良のトレードをすること。お金は二の次だ」。トレーダーで著述家のアレキサンダー・エルダーの言葉ですわ。正しい手順で投資を続けていれば、お金はあとからついてくる、ということかしら。まずはお勉強から、ですわね。

格言を読むための相場用語

前場と後場

東京証券取引所の立会時間は、午前の 前場 (ぜんば) が 9 時から 11 時 30 分、午後の 後場 (ごば) が 12 時 30 分から 15 時 30 分ですわ。後場の終わりは、2024 年 11 月から 15 時に代わって 15 時 30 分になりましたの。11 時 30 分から 12 時 30 分まではお昼休みですわね。

寄り付き

前場と後場、それぞれの最初の取引のことですわ。単に「寄り付き」と言うときは前場の最初の取引を指すことが多く、後場の最初の取引は「後場寄り」と呼び分けることもございますの。

格言との付き合い方

格言は、答えではなく問いかけだと、わたくしは思っておりますの。売るか迷った夜には「見切り千両」を、飛びつきたくなった朝には「相場は明日もある」を。一つでよいので、ご自分のお守りになる格言を手帳に書き留めてみてくださいましね。

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